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【自分で相続登記】被相続人の住所が登記と一致しないときの対処法

司法書士の岩田です。

自分で相続登記を行う際にはまりやすい、被相続人の住所が登記と一致しない問題の対処法を書いていきたいと思います。


「被相続人の住所が登記と一致しない」とは

まず不動産の登記情報(登記簿)には、「表題部」と「権利部」が記録されています。

「表題部」…土地や建物の面積や用途など、主に外形的な情報が記録される

「権利部」…過去および現在の所有者や抵当権者など、権利に関する情報が記録される


権利部に記録される所有者の情報としては、「住所と氏名」になります。

この住所を変更する登記は義務ではなく、法務局や市役所から登記の催促も特にありませんから、最初に登記をしてから何十年も住所変更登記を行わず放置される、という事態が往々にして発生します。

こうして、不動産の所有者が引っ越しなどで住所が移転しているにもかかわらず、登記上の住所に反映されない、つまり住所が登記と一致しなくなるというわけです。


そして相続登記を申請する際には、登記上の「住所と氏名」と一致する住民票の除票などを添付することで、登記上の不動産の所有者と被相続人の同一性を確認する資料とするわけですが、ここで問題が発生します。


昔の住所の記録は、往々にして証明書が発行されないことがあります。

住民票の除票は、住民基本台帳法施行令において5年間保存することとされており、保存期間を超えた記録は順次廃棄されることとなります。この5年の期間を超えても市区町村の判断によってはしばらく保存されることもありますが、10年以上記録が残っていることは体感として少ないです。



対策法+昔の住所をさかのぼるコツ!

・戸籍の附票の住所を確認する

住所は住民票だけに記録されているわけではありません。

「戸籍の附票」という書類にも記録されています!また、同一の戸籍に生存している方がいる間は

戸籍が閉鎖されることはなく、附票が廃棄されることもありませんので、住民票の除票よりも長い期間に渡って保管されていることが期待できます。

戸籍の附票は戸籍謄本や住民票の除票と同様、市役所の市民課窓口で請求できます。


・過去の本籍を確認する

意外かもしれませんが、同じ氏名で登記上の住所と被相続人の本籍(最後の本籍だけではなく、過去の本籍も含む)が一致すれば、登記申請上は同一人物として認められます。出生から死亡までの被相続人の戸籍のうち、登記上の住所と一致するものが無いか、しっかりと確認しましょう。


・権利証を確認する

不動産の権利証が被相続人のお家に残っているかどうか確認してください。

権利証(登記済証)が見つかれば、問題解決です!登記の申請時に、権利証を一緒に添付して下さい。

(根拠通達:平成29年3月23日付法務省民二第175号)

実際のところ、権利証があるからといって登記上の所有者と戸籍上の人物の同一性が確認できる訳ではないのですが、権利証を持っている以上、限りなく本人で間違いないだろう、ということですね。

権利証の特徴としては、以下を参考にして下さい。


・「権利証」「登記済証」などと表紙に記載されている

・B5サイズの薄い冊子であることが多い

・内部の紙が薄く、ツルツルとした和紙である


権利証がお目当ての物件に関するものかどうかを確認するコツは、後半部分に押されている法務局の印です。大き目の朱印には法務局の名称と、登記の受付年月日・受付番号が記録されています。これが登記情報の権利部、所有権を取得した際の登記の受付年月日・受付番号と一致していれば、その物件の権利証で間違いありません。


・住居表示、町名地番変更などの証明書を取る

登記上の住所と住民票の住所が異なっていても、引っ越したわけではなく、市町村の住居表示の実施(〇〇番地→〇番〇号)・町名地番変更などにより、単に住所の名称が変更した可能性もあります。

心当たりがあれば、市町村に連絡をして確認すると良いでしょう。

単に2つの住所の同一性の確認だけなら個人情報ではありませんから、電話でも教えてもらえることが多いです。もし同一であることの確認が取れた場合は、市町村に証明書の発行を請求しましょう。


解決しないときは

・法務局に相談する

この住所不一致の問題については、法務局の管轄により対応が異なることがありますので、登記の申請前に事前確認しておく方が無難です。

ちなみに要求される典型的な書類としては、

・「不在籍証明書、不在住証明書」...登記上の所有者と一致する戸籍・住所を持つ者がいないことの証明。市町村役場で取得する。

・「各相続人が実印押印した上申書」...各相続人から、登記上の所有者が被相続人で間違いないことを上申したもの。遺産分割協議書にその文章を含める形にすると楽。

・「納税証明書、評価証明書」...固定資産税を相続人が納税していると分かる書類。

などがあります。


・司法書士に依頼する

自分で相続登記をしたいと考えている方には最終手段といえますね。

途中まで自分で書類を集めたのに、今さら司法書士に頼みたくないよ!と思われるかもしれませんが、これから登記の申請書を作成すること、添付書類の過不足・内容のチェック、分からないことや登記申請後の補正があればその度に平日昼間に法務局へ足を運ぶことなどのコストを考えると、今からでも遅くはないかもしれません。餅は餅屋、どうにもならないときはプロにお任せしてみませんか。


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